大学3回生のある日、思いもよらぬ出来事が起こりました。
それは、バレエ人生において忘れられない「転機」となる瞬間。
このときの私の気持ち、舞台に向けた日々、そして本番当日のことを、今回は番外編として綴ってみようと思います。
人生最大のサプライズ
「ちょっとお話があるんだけど」と、先生に呼び出されたある日。
思わず「怒られるのかな…?」とドキドキしながら入った部屋で、かけられた言葉は意外なものでした。
『発表会で、コッペリアの全幕の、スワニルダをやってみない?』
……え?今、なんと?
まさかの全幕主役のお声がけ。
驚きすぎて、でも心のどこかで「こんなチャンス二度とない」と思っていた私は、迷うことなく即答。
「やります!!!」
これが、21歳の私にとって、人生最大の舞台の幕開けでした。
暗黒時代を越えて、今ここにいる
ここに至るまで、実は過去に太っていた時期もあり、自信を失っていた時代もありました。
でも、家族や先生がずっと私を見守ってくれていて、それがあったからこそ今の私がいます。
この役を通じて、ようやく自分の中で「やっとここまで来られた」と思えるようになったんです。
スワニルダとして生きる毎日
大学の授業を終えると、そのままスタジオへ直行。
夜はできる限りレッスンに参加し、振付を一つずつ身体に覚えこませていきました。
特に印象深かったのは、友人のパートに、私が大好きなオーストラリアバレエ団の振付を取り入れてもらえたこと。
本当に嬉しくて、そのシーンを踊るのが毎回楽しみでした。
1幕、2幕、3幕と物語を少しずつ紡ぎながら、
「本当に全幕を踊れるんだ」と、徐々に実感が湧いてきました。
同時に、「絶対にこの舞台を成功させたい」「主役に選んでよかったと思ってもらいたい」
という思いも強くなっていきました。
主役を踊るという“責任”
主役は、ただ踊るだけでは務まりません。
自分が舞台全体を引っ張る存在になる責任、
周囲との調和、作品への理解、表現力……
全てにおいて、自分と向き合い、乗り越える必要がありました。
就職活動を頑張る周りの友人たちを横目に、
私の目の前にはスワニルダという目標だけがあって、
日々、真剣に向き合っていました。
アルバイトも休ませてもらい、遊ぶことも控えたり。
それでも、不思議と辛くなかったんです。
夢中で、幸せで、何より楽しかった。
本番当日。そして、忘れられない時間
ついに迎えた本番当日。
舞台袖で待ちながらも、不思議と落ち着いていて――
舞台に立った瞬間から、
全てが音楽と一体になって、
仲間と呼吸が合って、
ただただその世界に没頭していました。
大きなミスもなく終えられて、
舞台上でも、客席でも、
「一つの作品をみんなで創り上げた」感覚
が確かにありました。
その一体感は、今も忘れられません。
まとめ|一生忘れない舞台
たくさんの方に支えていただきながら、
全幕の主役という大役をやり遂げられたことは、
私にとって一生の宝物です。
見に来てくださったお客様、
一緒に舞台を創り上げてくれたバレエ仲間、
支えてくれた先生、男性ゲストの方々、
全ての方に、心から感謝しています。
この経験を通して、
「主役を務めること」の意味と責任を学び、
「やり遂げること」の達成感を知りました。
私は6年前のあの日の舞台を、
これからもずっと胸に抱いて生きていきます。
あの時見に来てくれた方、本当にありがとうございます!
これからも海外で頑張ります!
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