【第一章】私とバレエのものがたり|バレエとの運命の出会い

Ballet Diary

私とバレエのものがたり

今、私はタジキスタンという国で、バレリーナとして舞台に立っています。

「え?タジキスタン?どこそれ?」
そう思った方もいるかもしれません。

中央アジアにある小さな国、タジキスタン。
日本から遠く離れたこの地で、私は夢だったバレエの舞台に立ち、踊っています。

でも、ここに至るまでの道のりは、決してまっすぐなものではありませんでした。
バレエダンサーって、
子どものころからずっとエリートコースを歩み、海外のバレエ学校を卒業できた特別な人たちだけ――。

私は、ずっとそう思っていました。

私にはセンスもなかったし、バレエ学校にも行けなかったし、ダンサーになる方法も知らなかった。
夢をあきらめかけたことも、実際にあきらめたこともあります。

それでも――

「やっぱり、踊りたい」
「私の人生にバレエは必要なんだ」

そんな想いに背中を押されて、
遠回りしながらも、今、タジキスタンの地でバレリーナとして舞台に立っています。

これは、私が「バレエダンサーになる夢」を叶えるまでの道のりの記録。
今回の第1章では、バレエと運命の出会いを果たした幼少期のエピソードをお届けします。
どうぞ、気軽に読んでもらえたら嬉しいです!


バレエとの出会い(3歳)

とあるモールのこども広場の隣を、おばあちゃんと歩いていた3歳の頃──。

水色の可愛いレオタード、
白いバレエタイツ、
ベージュのバレエシューズ、
綺麗にまとめられたお団子ヘア。

これらを身に纏った女の子が、私の目の前をスッと通りすぎました。

その瞬間、私はものすごい衝撃を受けました。
3歳だった私が今でもはっきり覚えている、たった一つの記憶です。

「かわいいレオタードが着たい!!!」


そう大泣きして、家族に必死でお願いしました。

けれど――答えはNO。
すぐにはバレエを始めさせてもらえませんでした。

後から聞いた話では、
「バレエは習い事としては高いから、できれば習わせたくなかった」とのこと。
お母さんは私にこう言いました。

「1年後にまだ習いたかったら、考えてあげる」

子どもにとっての1年は、永遠みたいなもの

4歳の私は、家で自分なりにバレエを真似したり、音楽に合わせて踊ったりして、ひたすら待ち続けました。

春、夏、秋、冬。
季節のうつろいを、踊りながら体いっぱいで感じた1年でした。


5歳で念願のバレエデビュー!

5歳になり、ようやくバレエを習えることに!

真っ黄色のスカートが短いレオタードを選び、わくわくしながら教室へ。
ところが、そこは想像していたクラシックバレエではなく、「モダンバレエ」の教室でした。

でもそんなこと、当時の私には関係ありません。
踊ることが楽しくて楽しくて、レッスンが毎回待ちきれないほどでした。


6歳で初めての舞台、そしてクラシックバレエとの出会い

6歳で初めて舞台に立ちました。
「おもちゃのチャチャチャ」の曲に合わせ、ミニーちゃんの衣装を着て踊った初舞台。

スポットライトに照らされて踊る感覚。
客席からたくさんの視線を感じるあの感覚。

舞台に立っている瞬間、私は間違いなく「幸せ」でした。

そして発表会の後、別のバレエ教室のお姉さんたちの踊りを見て、私はさらに衝撃を受けました。
それは、まさに私が夢に描いていた「クラシックバレエ」の世界。

私は迷わず、お母さんに言いました。

「こんなことしてる場合じゃない!クラシックバレエをやりたい!あのバレエ教室に移る!」

そうして幼稚園卒園間近、私は自らの意思で、クラシックバレエの道を選びました。

これが、私とバレエの「本当の出会い」。
ここから、私のバレリーナへの道のりが、静かに始まったのです。


第一章まとめ|すべては「好き」からはじまった

バレエとの出会いは、偶然のようで必然だったのかもしれません。
夢中になれるものに出会えたこと、それを信じ続けたことが、今の私の原点です。

でもこの「好き」は、これから先、いくつもの迷いや挫折、そして選択を通じて、さらに深まっていきます。

次回は、バレエと本気で向き合うようになった学生時代について綴っていきます。
どうぞ、私とバレエの“ものがたり”の続きを見届けてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました