小学生時代|心から踊ることを楽しむ
クラシックバレエが学べる教室に移った私は、ピアノのクラシック音楽に包まれながら踊るレッスンに心から夢中になりました。
小学生のころにはすでに、将来の夢は「バレリーナ」と決まっていました。
先生たちはとてもやさしく、のびのびと踊る私を温かく受け入れてくれました。
しかし、小学2年生になるとレッスン内容が難しくなり、バーレッスンで「ロン・デ・ジャンプ」に差し掛かるたびに仮病を使ってピアノの下へ逃げ込む…そんなサボり魔でもありました。
やりたい内容になるとピアノの下からひょっこり出てくる、自由すぎる低学年時代。
それでもバレエへの「大好き」という気持ちは、いつも心の中心にありました。
小学3年生のとき、プールをやめて、バレエを週2回から週4回に増やしました。
サボりながらも少しずつ、バレエに向き合うようになり、ある日を境に私は心を入れ替えます。
当時の先生はこう言っていました。
「ひよりちゃんが頑張ろうとし始めたとき、つま先がプルプル震えてたよ。」
私自身には記憶がないのですが、きっと心にプレッシャーをかけていたのでしょう。
真剣にバレエと向き合いはじめた、その瞬間は今でもはっきり覚えています。
コンクールへ初参加|バレエ漬けの毎日
小学校5年生で初めてコンクールに挑戦しました。
その時まで「バリエーション」という存在すら知らなかった私。
初めての演目は『眠れる森の美女』より「フロリナのバリエーション」。
家族がノイローゼ寸前になるほど、車の中でずっと音楽を流し続けて練習していました(笑)。
コンクールレッスンに通い出してから、私はバレエへの理解と情熱をぐんぐん深めていきます。
週6日バレエ漬けの日々。小学校生活も楽しく、毎日がキラキラと輝いていました。
イギリスのサマースクールへ|初めての海外体験
中学2年生の夏、私はイギリスのチェケッティ・サマースクールに参加します。
初めての海外クラスは刺激的で、日本以外のバレリーナたちに囲まれ、学びも多かったです。
しかし、心から楽しめたかというと、正直言って違いました。
周りが見えず、プライドも高く、初めての環境にうまくなじめない自分。
さらに観光中の体調不良、生理のトラブルなどが重なり、心も体もボロボロになりました。
この体験を通して、
「私には海外留学は無理かもしれない」
と、未来への選択肢をそっと閉じた自分がいました。
大切な人との別れ|暗黒時代のはじまり
サマースクールから帰国して数ヶ月後。
一緒に暮らしていた大好きなおじいちゃんが亡くなります。
人生で初めて味わう、家族との永遠の別れ。
この悲しみを受け止めきれなかった私は、心に大きな穴が空き、暗黒時代へと突入します。
高校時代|人生最大の激太りとバレエへの迷い
悲しみと思春期が重なった高校時代。
私は食べたくないのに食べてしまう、負のスパイラルに陥り、気づけば158cmで55kgに。
普通の生活ならそこまで問題ではなかったかもしれません。
けれど、バレエの世界では「踊れない身体」になっていました。
バレエを辞めようと決意し、先生に伝えに行ったこともあります。
でも、心の底ではどうしてもバレエを手放すことができなかったのです。
心が不安定なまま、バレエも勉強もやる気が起きず、将来に希望が持てない日々。
それでも、友達との時間には救われ、高校生活自体は楽しい思い出もたくさんありました。
そんな心が安定しないまま、大学2回生まで、太った状態は続きます。
大学時代|自由と自信を取り戻した日々
大学に入学した私は、テニスサークルに入り、アルバイトも始め、まさに「ザ・大学生」な生活を送っていました。
「学業・バイト・バレエ・遊び」この4つのバランスが、私にはぴったりだったのです。
忙しく自由な生活の中で、食べ物への執着も自然と手放すことができました。
4個入りのクリームパンではなく、少し高めのティラミスを買って心を満たす。
「少量で心を満たす」独自のスタイルで、私は2年かけて10kgの減量に成功します。
今振り返ると、
「太っていた原因は、心の問題だった」
と断言できます。
心が自由で豊かであれば、自然と身体も整っていく。
高校時代、心のコントロールができなかった私は、失敗からたくさんのことを学びました。
この経験こそが、私にとって何よりの財産になっています。
第二章まとめ|悩みまくった学生時代
バレエと向き合い、悩み、逃げたくなったり、壁にぶつかったり…。
それでも私は、バレエを手放さず、少しずつ自分自身と向き合いながら歩き続けてきました。
暗黒時代があったからこそ、今の私がいる。
心の弱さも、強さも、全部ひっくるめて、私はバレエに支えられながら成長してきたのです。
次回は、【番外編】人生初、全幕の主役を踊る。について綴っていきます。
大学在学中に起こった、とても貴重な経験にフォーカスを当てています。
どうぞ、私とバレエの”ものがたり”の続きを見ていってくださいね。
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